世界最大規模の実験
防災科学技術研究所と鹿島建設らは12月11日、巨大地震に対する高層ビルの耐久性を調べる公開実験を行った。地震の規模が大きくなると、「長周期地震動」が大きくなり、高層ビルなどの大きな建造物は共振して大きく揺れる。実験はこの揺れに対する耐久性も含めて検証が行われた。
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実験内容
警戒される「南海トラフ巨大地震」で首都圏・名古屋・大阪に発生する揺れを想定し、高層ビルが崩壊するまでの余裕度を測定した。また、加速度計や振動計などを使用し、階層ごとの全体的な損傷、接合部ごとの部材損傷の推定も行われた。
実験に使用されたのは、兵庫県三木市にある大型震動破壊実験施設「E-ディフェンス」。1980~90年代に設計・施工されたビルをもとに、18階建て相当の建物を3分の1に縮小した試験体の破壊実験が行われた。試験体の大きさは、高さ25メートル、重さ420トンで、世界最大規模の実験となった。
実験結果
想定されるマグニチュード8.7の揺れを与えたところ、建物の屋上部分では最大40メートルの揺れが見られたが、柱や梁(はり)に問題はなかった。さらにその3.8倍の揺れを3回与えると、柱部分の鉄骨が大きく曲がり、ビルは崩壊した。
南海トラフ巨大地震は、2011年の「東北地方太平洋沖地震」の国内観測史上最大規模のマグニチュード9.0を上回るおそれがあると言われている。今回の実験では、1980年代以降に設計・施工されたビルならば十分な耐震性があることが分かった。
実験結果は今後の新たな地震対策に活用されていく。

独立行政法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター
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