賃貸共同住宅着工戸数は減少傾向。賃貸市況の低迷が着工数に影響。
みずほ信託銀行株式会社は、賃貸共同住宅の空室率と人口移動の関係などを調査し、まとめた「不動産マーケットレポート2015年6月」を発表した。
それによると、1995年以降の賃貸共同住宅着工戸数は世界金融危機後に大きく落ち込み、2012年から緩やかに回復傾向に転じたものの長期的には減少傾向となっている。
2014年は金融危機前10年間(1998~2007年)の平均の63%程度の水準で、2009年以降6年連続で30万戸以下となっている。賃貸共同住宅は空室率が高いほど着工率が低くなる傾向があり、賃貸市況の低迷が着工数に影響を与えている可能性があるとされている。
また、39歳以下(以下、「賃貸居住年齢層」)の世帯の57%が民営賃貸共同住宅に居住しており、家計を主に支える世帯主の年齢層が若いほど、賃貸共同住宅に居住する比率が高いという調査結果も出ている。
さらに別の調査では15~39歳の転入超過率(転入数から転出数を引いた値を人口で割ったもの)が高ければ高いほど、民間賃貸共同住宅の空室率が低くなるという結果も出ている。
15歳~29歳は三大都市圏全てで転入超過
三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)およびその他地方の人口移動(転入・転出)についての調査結果によると、就学・就職年齢層である15歳~29歳は三大都市圏全てで転入超過(転入数の方が転出数よりも多い状態。転出超過はその逆。)である一方、三大都市圏以外の地方は大幅な転出超過となっている。
名古屋圏と大阪圏は15~29歳以外の全ての年齢層で転出超過、特に大阪圏はファミリー世帯に相当する30歳~39歳が大幅に転出超過の状態だ。
都道府県別では、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、愛知県、福岡県、宮城県の7都県が転入超過、その他の40道府県は転出超過となっている。
(画像はプレスリリースより)

不動産マーケットレポート2015年6月
http://www.tmri.co.jp/report_market/pdf/