市場概況、参入企業動向、将来展望を明らかに
2018年6月21日、株式会社矢野経済研究所は、既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)市場の調査(以下、同調査)結果を発表した。
同調査の調査対象は既存住宅インスペクション事業者・関連団体等で、2018年3月~4月の期間に、同社専門研究員による直接面接取材及び電話ヒアリングと文献調査を併用して調査を実施した。
なお、既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)とは、既存住宅に対し、目視等を中心とした現況調査を行い、構造安全性や日常生活上の支障がありそうな劣化事象等の有無を把握する調査で、既存住宅状況調査、フラット35適合証明検査、物件購入前の建物診断、リフォーム・リノベーション前現地調査などが挙げられる。
既存住宅インスペクション市場調査結果の概要
同調査の2016年度の規模は、件数ベースで4万5,000件、金額ベースで約21億8,000万円になり、売主主体のインスペクション件数は3万件、金額ベースで約13億5,000万円、買主主体のインスペクション件数は1万5,000件、金額ベースで約8億3,000万円になると推計される。
2016年には宅地建物取引業法の一部改正による法律案が成立し、宅建事業者は「媒介契約において建物状況調査を実施する者の斡旋に関する事項を記載した書面の交付」「買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明」「売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付」の3つが義務付けられた。
また、2018年4月より、改正宅地建物取引業法が施行され、建物状況調査の告知・斡旋が義務化されたことから、こうしたことに対する認知向上やこれに伴う需要が期待され、市場は拡大するものとみられる。
2017年度の既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)の市場規模は、件数ベースで5万2,500件と見込まれ、2018年度は6万1,400件と予測される。
さらに、大手不動産事業者等を主要顧客に持つインスペクション事業者の取扱案件は増加傾向にあり、一般消費者を主要顧客とする買主主体のインスペクションでは、件数ベースで年率10%程度の成長率で推移している。
(画像はプレスリリースより)
矢野経済研究所 プレスリリース
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1909