従来のシステムでは掘削コストや運用コストなどが高いことが課題
2018年6月25日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)と日本大学工学部は、NEDO事業において、日商テクノ株式会社および有限会社住環境設計室とともに、一般住宅向けの浅層地中熱利用システムの低コスト化技術(以下、同技術)を開発したと発表した。
地中熱利用システムは、地中に埋設させた熱交換器を通じて地中の熱を取り出し、ヒートポンプで冷熱・温熱を作り出して、室内機で冷房・暖房をするシステムで、冬は外気より高い温度の地中熱を熱源に利用できるため効率良く暖房運転を行い、夏は外気より低い温度の地中熱を熱源に利用できるため効率良く冷房運転が行える。
しかしながら、従来のシステムでは、熱交換器の埋設孔を深く掘る必要があるため掘削コストが大きくなるとともに、運用コストが高いなど、多大なコストがかかることが課題であった。
一般住宅向け浅層地中熱利用システムの概要
同技術では、深さ20m以浅の浅層熱利用システムで、導入コストを低減するため、埋設作業と熱交換器設置作業を同時に実施し、幅・奥行き1m程度の小型軽量埋設機構を開発するとともに、短い鋼管を順次接続しながら地中に回転埋設していく施工法を開発した。
また、運用コストを低減するため、複数の地中熱交換器群と冷暖房室内機群を連携制御するヒートポンプシステム制御技術を開発した。
なお、福島県郡山市の同大学工学部再生可能エネルギー共同研究施設と福島県葛尾村の実験場において実証設備を構築して、開発技術と従来技術とを同一の環境条件で比較評価するとともに、既築の戸建住宅へ新たにシステムを導入する場合の初期コストについて、実証的な評価を進めてきた。
この結果、導入コストを40%削減した150万円/5kWの浅層地中熱利用システムを実現できるとの見通しが得られ、システムの運用コストを10%低減できることも確認した。
(画像はプレスリリースより)
NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100980.html