マンション建替え研究所が調査結果を発表
旭化成不動産レジデンス株式会社のマンション建替え研究所は、2014年11月~2015年2月まで、高経年マンションにおける区分所有者とコミュニティの高齢化などについて、過去社内資料をもとに解析し、その結果をまとめた。
この報告書にまとめられたのは、建替えマンションにおける「空き家率」、区分所有者の「年齢」や「世帯構成」、「再建後の再取得率」など。
建替えマンションにおける高齢区分所有者の実態を調査
マンション建替え研究所が2011年に発表した「自社マンション建替え事業における区分所有者の実態調査」では、高経年マンションにおける住民の高齢化と、空室化の問題が明らかとなっていた。
そんな高経年マンションにおける高齢者問題や、空き家問題は、近年では大きな社会問題として、さまざまな場所で取り上げられるようになっている。
今後、これらの問題のさらなる深刻化が予想されるいま、マンション建替え研究所は、建替えマンションにおける高齢区分所有者の状況について、より詳細に分析し、その実態を把握することが重要と考え、今回の調査を実施することとした。
調査対象となったのは、旭化成不動産レジデンスが参画する建替えマンションのなかで、従前戸数が50戸以上の6棟のマンション。これら6棟を対象に、個別面談記録などの過去社内資料が解析された。
高経年マンションの高齢化、高齢者の一人暮らし増で空き家率も増加
今回の調査では、区分所有者の「70%」は60歳以上で、39歳以下はわずか「5.7%」という結果に。
また、建替え前のマンションの空き家率は「24%」となっており、過疎地に見られる“限界集落化”と呼ばれる現象が、大都市部の高経年マンションにも発生していることが明らかとなった。
なかでも、3人以上の世帯は、わずか「12.8%」と減少傾向に。単身世帯が「41%」を占めており、75歳以上の高齢者になると、さらに単身世帯の割合が増え、「46%」の高齢者が一人暮らしをしている実態も判明した。
高齢区分所有者の多くが再建後に再取得
今回の調査では、再建前のマンションに住んでいた高齢者が、再建後に再取得する割合が高いことも明らかにされた。
全体で見ると、区分所有者が再建後に再取得する割合は、「76%」。75歳以上の内部居住者においては、「71.4%」が、再建後に再取得していることが分かった。
また、再取得時に追加金を出してでも、再建前より広い住戸に住もうとする人が多いことも判明。区分所有者の約「80%」が、建替え時に追加金の自己負担をおこなっている結果となった。
一方で、75歳以上の高齢居住者が、再建後に再取得しなかった理由には、「長い仮住まいについての不安」や、「二度の引っ越しが負担」などの心理的な抵抗があげられている。
このことから分かるのは、建替え時における課題は、高齢者の体力や心情面をいかにサポートしていくかということ。旭化成不動産レジデンスは、今回の調査結果をもとに、高齢者サポートを含めた事業推進をおこなっていく方針だという。

旭化成不動産レジデンス株式会社によるプレスリリース
http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2014/ho150304.htmlマンション建替え研究所ホームページ
http://www.afr-web.co.jp/tatekae-lab/index.html/